12.女心と初めての贈り物 

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「そうそう今日は二月の十四日。  うちの学校の、受験の日でさ……大変なんだよね。  って、そんなことどうでもいいの。  理佳、二月十四日って聞いてまだ何も思わないの?」 「えっと……キリストの祭日でしょ。  それくらい知ってるわよ、私も。  確か……ローマで2月14日は女神・ユノの祝日だったの」 「もう、理佳……全然わかってないじゃない。  ライバルがこれだと、本当に私もやりがいがないんだから。  今日はバレンタインデー。  女の子が男の子想いを伝えて告白する日。    わかった?」 「……告白する日?……」 「そうよ。  こ・く・は・く。  もう一つ付け加えれば、1月28日は託実の誕生日だったわけ」 「託実は……1月が誕生日だったの?」 「あぁー、もう……アンタ、本当に託実の彼女?  彼氏の誕生日くらい聞き出しなさいよ。  毎日、託実のお父様に逢ってるんでしょうに」 「うん。  宗成先生にはあってるけど……そんなこと考えもしなかった」 そうやって答えると、 堂崎さんは脱力したように大きく溜息を吐き出した。 「幸せ逃げるよ」 思わず続けた言葉。 「幸せが逃げたらとりあえず理佳のせいだから。  ほらっ、バレンタインと誕生日の情報をわざわざ私があげたのよ。     後は、凄く凄くお節介だと思ったけど  もう一つ用意してきたわよ」 そう言うと、堂崎さんは鞄の中から 箱に入った、大きなチョコを取り出した。
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