12.女心と初めての贈り物 

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「病院のベットでも、何も出来ないだろうから  私がセッティング」 そう言うと、私が散乱させていた五線譜を一気にまとめて端にのけると テーブルの上、私の正面にチョコレートを置く。 もう一つの取り出した者は、セロハンの中に詰められた何か。 緑色の何かが入ったセロハンの三角錐の先端をハサミで少し切って、 彼女は、チョコレートの隣の箱に葉っぱのような飾りを器用に作り上げる。 「中に詰まってるのは、抹茶のチョココロネ。  それで作ったデコレーションがこれ。  これ、参考にアンタも作ってみて」 そう言って私に手渡す。 柔らかい感触のあるそれを触って、 同じように見様見真似でするけど、うまく作れない少し歪な形の葉っぱ。 何回か練習して絞り出して、一番上手く作れたものを選び出す。 そんな作業をしている間に、同じような三角円錐のもう一つを取り出して 同じようにハサミで先端を切る堂崎さん。 見た感じ、三角円錐の先端が凄く細いように見えた。 「んじゃ次はこっちね。  先端は細くして、文字をかけるようにしてるから  好きなメッセージ書いて伝えなさい」 そう言って、堂崎さんは新しい三角円錐を手渡した。 三角円錐を握りしめて、 暫く固まる私。 メッセージ……メッセージ……。 堂崎さんは、固まってる私に配慮してか 少し席をはずして病室から出ていった。
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