12.女心と初めての贈り物 

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病室から外に出られない私は、プレゼントを買いに行くことすら出来ないから その代わりに、買い物に行って貰えそうな人に頼むしかなかった。 その日の夕方には、お父さんとお母さんが病室に顔を出してくれて、 買ってきた、黒のマフラーと白い刺繍糸。 そして刺繍張り。 そのマフラーの隅っこに、お母さんに教えて貰いながら TAKUMIの名前を、刺繍で縫いとめた。 そうやって何とか、皆に手伝って貰って完成した 初めての贈り物は、宗成先生を通して託実に届くようにお願いした。 託実に逢いたい。 だけど……今の自分を見てほしくないつて思う 私にも芽生えた女心。 心の中で求め続ける想いは、 今出来る精一杯で、初めての贈り物に託して……。
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