14.19歳の誕生日 

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夕方、朝からずっと一緒に居た託実が、 私の両親たちの前で、話を切り出した。 「理佳……海に行こう。  だけどすぐはダメだ。  親父と相談したんだ。 理佳が海に行きたいって思ってることも踏まえて。  親父、いいって言ってくれた。  ただし条件がある。  その外出は一泊二日のみ。  行先は、伊舎堂家の……親父の実家の別荘」 「託実くん、だけど娘は……」 託実の言葉にトキメク私。 だけどお父さんはすぐに、 託実の言葉を否定しようと言葉を挟む。 だけど私は病気で……今は、心臓だけじゃなくて、腎臓も肝臓も悪くなってる。 体の中の水分を制限して、少なくしてるから、血液もドロドロで血栓が出来やすい。 そんな状態だから血栓が出来にくいように、血をサラサラにする薬も飲んでるから 少しの出血でも大変なことになる。 そんな状態だから、外出なんてさせられない。 お父さんが続けような言葉は何となく想像できて、 私はあえて、体を窓側へと向けて、視線をそらした。 だから海には行けない……。 最初から、諦めていたはずなのに なんで……託実に話しちゃったんだろう。 「理佳のお父さんもお母さんも話は最後まで聞いてください。  ほらっ、理佳もこっち向けよ。  ちゃんとその辺りも親父と話してる。  俺、こう見えても理佳の主治医の息子。  理佳のことは親父にきけば早い。  守秘義務とかがあって突っ込んだことは出来なくても、   親父を味方につけることくらい出来る。  旅行の条件は、理佳のおじさんとおばさんが一緒に来ること。  俺の親父と、母さんも一緒についてくる。   気が向いたら、兄さんたちも顔を出すかも知れない。  それは今の俺にはわかんないけど。  後は、その別荘の近くにここの姉妹病院がある。  だから何かあれば、すぐにその病院で親父が直接処置できるってこと」
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