14.19歳の誕生日 

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託実はそうやって、 話してくれた。 最初は渋ってたお父さんも、お母さんも その後何度か、お互いの顔を見合わせて……私に話しかけた。 「理佳はどうしても行きたいの?海」 水着で砂浜を走れなくてもいい。 裸足で砂浜をかけて、寄せてくる波に足を濡らされなくてもいい。 ただ……少し離れた砂浜に座って、 寄せては返す波を見つめながら、潮を感じるだけでもいい。 波の音を聞くだけでもいい。 それだけでもいいから…… 海に出掛けてみたかった。 問われた言葉に、 私はゆっくりと頷いた。 18歳がタイムリミットだと言われた私の命。 あれから1年が過ぎて、 19歳を無事に迎えることが出来た日。 今日からまた新しい1年が始まっていく。 ゆっくりと……精一杯、 私らしく歩いていきたいから。 だから……神様、 今はもう少し……私に時間をください。 大切な人たちと過ごす そんな優しい時間を……。
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