15.GW 

3/9
前へ
/167ページ
次へ
あの学院祭の日、一緒に演奏した瑠璃垣と廣瀬。 あの二人とは、あれ以降会うことがなかったけれど 怜さん越しに、アイツらが元気に過ごしてるって情報は入ってきた。 瑠璃垣って言うのは、つい最近、マスコミを賑わせた一大企業。 そんな大企業の坊ちゃんじゃ、 簡単にバンドなんて出来ねぇよな。 そんなことを思いながら、俺たちはAnsyalとしては確定メンバーは隆雪と俺。 それ以外のドラム・ボーカルは、怜さんの知り合いの人にゲストで参加して貰う形で 地道に活動を続けてた。 時折、ツインギターになる時は怜さんに手伝って貰いながら。 地元じゃ少しずつ知名度も上がっていった。 LIVEで演奏するようになると、 俺を応援してくれる人たちとも交流が始まった。 ステージにあがると、それだけで『たくみー』っと名前を呼びかけてくれる女の子たち。 俺は本名のまま「TAKUMI」を名前として使って、隆雪は「TAKA」と名乗るようになった。 「託実、次の曲。  頭から行ってみようか。  智のドラムをよく聴いて、リズム隊をしっかり」 そう言って怜さんの声がスタジオに響く。 俺は、今以上にドラムの音に神経を研ぎ澄ませる。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加