15.GW 

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別荘についた後、アイツは補助心臓のバッテリーの充分も兼ねて 別荘のベッドで休息タイム。 楽しそうにはしゃいでいても、体力の低下している今のアイツには こんな僅かな移動も、かなり疲れるみたいで、すぐに眠りの中へと入っていった。 2時間ほど仮眠して、ゆっくりとベッドの上で体を起こした理佳は、 その窓から、海の方をじっと眺めてた。 「起きたのか?」 「うん」 「海行きたいんだろ。  今、親父呼んでくるからもう少しおとなしく休んでろ」 俺はそう言って、親父の元へと向かった。 親父たちは、理佳の両親と二人で 夜ご飯の準備をしてた。 「親父、理佳が起きたよ。  とりあえず顔出してやってよ。  海行きたそうだから」 そう言うと、親父はすぐに作業を中断して綺麗に手を洗った後 診察鞄を手に持って、理佳の部屋へと向かった。 診察の間は、俺は入れるはずもなくて 閉ざされた扉の前で、時間を持て余す。 ここまで来ても、アイツが悪化してたら とんぼ返りか、すぐ近くの病院に搬送が決定。 こんなに近くにアイツが見たかった海があるのに……。 何とも言えない緊張感が俺の中に広がっていく。 暫くして、ドアが開くと そこには車椅子に移動した理佳が親父に車椅子を押されながら 部屋から顔を覗かせた。 「託実、許可出たの。  だけど30分だけだって」 30分。 親父が決めたタイムリミット。  
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