15.GW 

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俺たちは、理佳の車椅子を押しながら 別荘から近くの海岸まで全員で移動していく。 海に入ることはさせられないけど、 アイツの車椅子を、砂浜の上でゆっくりと移動させていく。 波打ち際が見えるその場所に、車椅子をとめてロックをかけると 俺はアイツの隣、砂浜の上に座った。 「託実……波の音って、子守唄みたいだね。  一定のリズムで、凄く心地よい」 そんな感想を口にしながら、 じっと海を見つめ続ける理佳。 そんな理佳を見ながら、俺は凄く怖くなった。 なんか……理佳がこのまま、 俺の手が届かない何処かへ行ってしまいそうで……。 そんな押しつぶされそうな不安の時間に耐えられそうになくて、 30分をの待たずして、親父たちの傍へと理佳の車椅子を動かした。 親父たちと合流した後も、理佳は海を見つめ続けていて 理佳の両親は、そんな理佳と一緒に海に来た写真を撮影してひと時を過ごした。
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