2.新しい風

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音楽って言っても、クラシックが殆どだった私に バンド用のアレンジが出来るかどうかなんて、正直わかんない。 だけど……本音は「必要とされたこと」が凄く嬉しくて それに答えたいって思ったから。 「えっと……裕先生。  でもバンド用のアレンジってどうやってやればいいのか、わかんなくて」   「そうだねー。  理佳ちゃんが関わってきた世界とは少し勝手が違うかもしれないね。  バンド用のオリジナル曲も、最初は原曲作りから始まるよね。  その原曲は、隆雪が考えてきてるのかな?  最初の段階は、その原曲を堅固なものに調整していくことなんじゃないかな。  歌入れも含めて、全体的なイメージを固められるように。  曲の展開だったり、曲の長さの調整、前奏が何小節。サビを頭に持ってくるかどうか。  何曲も回数が重なってくると、同じ展開パターンになりやすいから気をつけながら  土台を決める作業。  多分、理佳ちゃんに課せられる部分は、その作業じゃないかな」 ざっくりと、編曲・アレンジを依頼されて 頷いてたけど、思いつくままに演奏する即興的要素とは異なるのだと そこで初めて認識する私。 「難しいかな?」 「難しくないとは言えないんじゃないかな?  でも……私は、理佳ちゃんには出来る力が備わってると信じてるよ」
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