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夏がアイツを連れていく……。
そう言われているみたいで、
凄く不安になって、
俺はその夜、帰宅してから……ベッドの上で
体を小さく縮めて体育座りをしながら、
両手で俺自身を抱きしめた。
理佳のことを思いながら……
その時が来ることに怯えながら。
八月になって……もうずっと逢えないと思っていたアイツは、
病室に戻ってきた。
理佳自身のたっての希望で……。
そして……その本当の意味を知った時、
俺は思わず壁を拳で叩き付けた。
*
大好きな託実と……
大切な人たちとの最期を大切に過ごしていきたいから……。
*
夏休み……最後の二週間。
俺は毎日の時間を惜しむように、
アイツの元へ通い続けた。
アイツを……
アイツの旅立ちをこの目で刻み込む為に……。
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