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そう言って、裕先生は画面の向こう側で笑いかけてくれた。
「原曲の編曲が終わったら、次は各楽器パートの伴奏を考えるようになるかな。
その辺りもいろいろと理佳ちゃんには未知の世界だから苦労する部分じゃないかな。
各楽器のことを勉強する必要もあるよね。
残念ながら、私もそっち方面は詳しくないから
今度、宝珠(ほうじゅ)に連絡を取っておくよ」
裕先生の口から、聞きなれない名前が出てくる。
「宝珠?」
「そう、華京院宝珠(かきょういん ほうじゅ)。
私の父方の従兄妹で、バンドやってる子たちと深く関わりのある活動をしてる。
隆雪たちにとっても、力になってくれると思うから」
裕先生はそう言って、真っ直ぐに私を捉える。
「理佳ちゃん……新しい風が吹きそうだね。
11月の悧羅学院の学院祭には、OBとして帰国して参加することになってる。
その時に逢えるのを楽しみにしてるよ。
おやすみなさい。理佳ちゃん」
「おやすみなさい。裕先生……」
そうやって言葉を返すと、画面の向こうがブラック画面になり
いつものノートパソコンの画面へと戻った。
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