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宗成先生たちが、
どれだけ頑張って手を尽くしてくれても
日に日に、体力も気力も奪われていく。
カーテンに仕切られた空間で、
機械に繋がれて、動くことすらままならない現実。
託実と過ごした、
あの場所にもう一度戻りたい。
本当にこの命が尽きようとしてるなら、
その時がいつ訪れてもいいように……
あの場所で、皆にお別れが言いたかった。
思う様に話せない言葉だけど、
私には……まだ耳がある。
目がある。
皆の姿を自分の中に刻み込むことも、
声を受け止めることも、
あの場所なら出来る。
だけど……この部屋では、
お父さんとお母さん以外、会うことは出来ないから……。
【最期】。
その瞬間を意識すればするほど、
皆のことが脳裏に浮かんで行く。
ずっと昔から、死ぬことなんて怖くないんだって
自分に言い聞かせてきた。
私はいらない子だから……。
私が生きていても、家族の迷惑になるだけなら
私の存在なんて、消えてなくなればいい。
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