18.夜想曲 ~Last Note~ 

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私が生きていること事態が罪だから……。 そして何時死んでもいいって思っていたのに、 なかなか死ぬことが出来ないのは、 神様が私に与えた罰なのだと……ずっと思ってた。 だけど本当は違った……。 ずっと死ぬことが怖くて、 死を受け入れることが出来なくてもがきつづけてた。 そんな弱さを、いろんなものにすり替えて 必死に現実から目を背けようとしてただけだった。 そんな私のズルさが、今は本当に良くわかる。 最後の最後に……神様は、 私に本当の愛を教えてくれた。 何も知らないまま、その時を迎えるのは忍びないから…… そんな神様の優しさがくれた、 託実と過ごした一年だったのかもしれない。 今はそんな風にも思えた。 ずっとずっと暗闇にもがき続けてた私の人生【じかん】。 最後に煌めくことを教えてくれた季節。 託実と出逢って、一年が過ぎた朝…… 宗成先生に自分の気持ちを伝えた。 「み・ん・な・に  あ・い・た・い……。  た・く・み……た・ち・に……  あ・わ・せ・て……。  あ・の・へ・や・で……」 一言一言、伝えることを意識しながら 長い時間をかけて、絞り出すように伝えた言葉に 宗成先生は、ゆっくりと頷いてくれた。 病室に戻ったその日は8月18日の夕方。 その日から私の大切な時間がゆっくりと始まった。
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