12人が本棚に入れています
本棚に追加
お父さんやお母さんが、私のお願い通り、
逢いたいっと思ってる人達に連絡をしてくれた。
それは、宗成先生たちも協力してくれた。
忙しいリサイタルの合間に、駆けつけてくれたのは
冴香先生。
冴香先生はあのクリスマスイヴのリサイタルのDVDを
私に握らせた。
「理佳ちゃん、きっとまた一緒に演奏しましょう」
そう言いながら、冴香先生はお仕事へと戻っていった。
その夜は、託実やお父さん、お母さんたちと
そのDVDを病室で楽しんだ。
託実は毎日、顔を出してはベースを演奏する真似をしたり
何時もみたいに笑ってた。
そんないつもと変わらない仕草を見せてくれる託実は、
私にとって、凄く優しくて……そんな託実に、
私自身もいつもと同じ日々を過ごせるような気がした。
病室に戻ってから四日間くらいたった頃、
日本に居るはずのない、裕先生が顔を覗かせた。
「裕兄さん、遅いよ。
理佳、待たせてんじゃねぇよ」
託実はそう言いながら、裕先生を病室に招き入れた。
「久しぶりだね。理佳ちゃん」
聴きたかった優しい声に、
私はただゆっくりと頷き返す。
「理佳、俺少し席外す。
裕兄さんと少しの間過ごしたらいいよ」
託実はそう言って、病室を出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!