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そして裕先生の隣には、
私にいろんなことを教えてくれた宝珠さん……。
「ごきげんよう、理佳さん」
そう言って、私ににっこりと微笑む。
「理佳ちゃんに借りたファイルの楽譜を元に、
宝珠やDTVTのメンバーに手伝って貰いながら曲を仕上げたんだ。
理佳ちゃんに聴いて欲しくて……」
「理佳さん、なかなか素敵な曲に仕上がってましてよ。
もう少し編曲は必要ですけど、早く元気になって私たちの楽団にいらっしゃい」
宝珠さんは相変わらず手厳しいけど、
凄く凄く優しかった。
裕先生のヴァイオリンの音色。
そのヴァイオリンに絡み合う様に、
もう一つヴァイオリンの音色が聴こえる。
ヴァイオリンに絡み合う様に聴こえてくるピアノも
二台……。
自分の中で鳴り続けていたメロディーに
包まれながら、私の力はゆっくりと抜けていく。
ラストノートの調べと共に……。
大好きな優しい世界に包まれながら、
最期の一息を吸い込んだ……。
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