18.夜想曲 ~Last Note~ 

7/7
前へ
/167ページ
次へ
そして裕先生の隣には、 私にいろんなことを教えてくれた宝珠さん……。 「ごきげんよう、理佳さん」 そう言って、私ににっこりと微笑む。 「理佳ちゃんに借りたファイルの楽譜を元に、  宝珠やDTVTのメンバーに手伝って貰いながら曲を仕上げたんだ。  理佳ちゃんに聴いて欲しくて……」 「理佳さん、なかなか素敵な曲に仕上がってましてよ。  もう少し編曲は必要ですけど、早く元気になって私たちの楽団にいらっしゃい」 宝珠さんは相変わらず手厳しいけど、 凄く凄く優しかった。 裕先生のヴァイオリンの音色。 そのヴァイオリンに絡み合う様に、 もう一つヴァイオリンの音色が聴こえる。 ヴァイオリンに絡み合う様に聴こえてくるピアノも 二台……。 自分の中で鳴り続けていたメロディーに 包まれながら、私の力はゆっくりと抜けていく。 ラストノートの調べと共に……。 大好きな優しい世界に包まれながら、 最期の一息を吸い込んだ……。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加