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「なぁ、託実……俺たちの気持ち、
ちゃんと理佳ちゃんに届けろよ。
理佳ちゃんに最後、ちゃんとお前の演奏聴かせてやれよ。
俺も、理佳ちゃんが手伝ってくれた曲がどれだけ上手く演奏できるようになったか
ちゃんと報告したい」
そんな隆雪の一言で、俺たちは動き始めた。
ギターの隆雪とベースの俺。
ドラムは告別式の会場だから無演奏出来るはずもなくて、
考えた結果、美加にキーボードで手伝って貰うことにした。
そして……、別れの朝。
俺たちは悧羅の制服姿に、腕に喪の腕章をつけて演奏した。
アイツが大好きだって、いってくれた
俺のベースの音。
子守唄だって、何度も何度もいってくれた
俺の音色。
告別式の会場いっぱいに届け。
俺たちの想い。
理佳が必死に編曲して俺たちに託してくれた曲と共に
演奏した物は、昨日、1日かけて作り上げた
アイツの為のオリジナル曲。
『星空の祈り』
このメロディーの中に、
俺の想いの全てを閉じ込めて。
アイツが天へと還りはじめる時間。
喪服姿のアイツの父親と母親が、
俺の傍へと近づいてきた。
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