3.相棒探しと負けず嫌い

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「サンダーバード……」 「そう。  音は気に入ったんじゃない?  託実らしくて。  ただ演奏はやりづらいだろうけどね」 「確かに最初の一本には向かないかもしれないけど、  託実くんが気にいったなら、持ってみるかい?」 隆雪や中山さんの言葉に、 俺は背中を押される気がした。 サンダーバード。 その音色に魅了されてる。 「中山さん、それで。  有難う、隆雪。  それに、怜さんに羚」 そう言うと、サンダーバードを手にした中山さんと共に 親父と叔母さんの待つ方へと移動した。 その日初めて手にした相棒。 ギブソン サンダーバード。 そして練習に必須アイテムの、アンプとエフェクターを一緒に購入して 俺は家へと持ち帰った。 中山さんから最初の宿題である、 ドレミファソラシドの指の動かし方を教えて貰って。 ベースのテキストと睨めっこし、 ネット動画でベースを弾いている演奏動画を追いかけて 教室と自宅で、必死にサンダーバードを触り続ける日々。 相棒を見つけ出したその日から、 負けず嫌いの俺は、理佳の病室に尋ねる時間を忘れて 黙々とベースを触り続けた。 全ては……1日でも早く、 理佳がアレンジした曲を演奏できるレベルになりたいから。 そしたら、隆雪と理佳の会話の中で感じる 俺の疎外感も取っ払われるような気がした。
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