4.練習と曲作り~裕先生の寄越した人~

4/12
前へ
/167ページ
次へ
タイムリミットが過ぎた命。 何時まで生きられるかなんて、 最初から誰もわからない。 だから……そんな誰にも決められない言葉に 振り回されて自分を殺すのもやめたいって思えた。 朝の休憩を挟んで、迎えに来てくれたかおりさんと、お遊戯室に向かうと かおりさんは冴香先生と教室が出来るようにセットしてくれた。 「理佳ちゃん、今日も楽しんでね。  何かあったらすぐに呼んで」 そう言って、お遊戯室で倒れた後からずっと手渡されてる 救急コールブザーの紐を首から下げられる。 お遊戯室にはナースコールのボタンがないから、 それに変わるものとして、かおりさんたちが準備してくれたアイテム。 かおりさんがお遊戯室を出ていったのを確認して、 車椅子からピアノの椅子へとゆっくりと移動すると、今日も軽い運指からウォーミングアップ。 一通り鍵盤の上に指を走らせた後、 隆雪君が依頼されている編曲を少し、実際のピアノで演奏してみる。 五線譜の上に泳がせてる、おたまじゃくしは、あくまで頭の中のイメージ。 そのイメージが、実際に演奏できるかどうかは私のスキル次第だから……。 自分への挑戦の様に、その譜面と向き合って修正個所にチェックをいれると 裕先生に感想を貰うために、持ってきたノーパソを通して録音した。 録音した後、壁時計に目を向けると20分が経過しようとしてた。 後10分で、冴香先生のレッスン。 慌てて、先生から出された課題曲の練習を始める。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加