第二楽章 「祈りの夏 煌めく季節」 1.隆雪と怜さん 

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陸上部を引退すると、そんな放課後の過ごし方しか出来ないのかよって言う想いと それでも理佳の傍に居られるだけでもいいって思う、 そんな気持ちが俺の中で交差していく。 二学期になって、二週間ほどそんな時間を過ごして 学院内は、10月10日に行われる体育祭の準備に慌ただしくなってきた。 俺が通う悧羅学院は、特殊な学校。 校舎は主に、悧羅校・海神校・昂燿校と3つに分かれて 普段はそれぞれの学校で勉強している学院生徒たち。 だけど学院体育祭と学院文化祭は、 三校の全ての生徒が、悧羅校舎へと集結する。 幼等部から、大学院までの全ての生徒が一堂に集まるお祭り行事。 普段は率先して、体育祭なんて燃える俺も 夏休みの手術からまた約八週間。 今もリハビリに病院に通う身では、燃えられるはずもなく 俺自身か出場できない行事に、熱くなれるほど出来たわけでもないから ただ運営委員会に一員として、得点稼ぎにやるべきことだけ淡々とこなしているだけ。 「託実、おはようー」 「おぉ、稔。高等部の朝練行ってきたのかよ」 「まぁな。  託実、俺はお前を待ってるから。  リハビリ終わったら戻って来いよ。  先輩たち、残念がってた」 朝の挨拶の為、朝練帰りのデューティを待つ俺に 稔が話しかけてくる。
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