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一斉にその女の人にお辞儀を始める従業員。
「ここは彼女の家が経営するお店なんです」
そう言って、車椅子を押しながらよっくりと教えてくれた。
「紺野さま、伊集院さま、ご無沙汰しております。
初めまして、満永さま。
どうぞ、本日はごゆるりと」
そう言って、店長と名札に書いてあったその人は私にも頭を下げた。
エレベーターで上に移動して通された場所は、
ホワイトボードと、ピアノが2台。
そしていろんな機材が詰まった部屋。
「さて、まずは裕兄様の課題からね。
高臣さま、紫音さま」
「その前に宝珠、ご挨拶をされては?」
「えぇ、そうね。
華京院宝珠(かきょういん ほうじゅ)ですわ。
今は悧羅学院内で、DTVT楽団を率いています。
こちらが、私のフィアンセ。
紺野高臣さま。そして、私たちの学院のOBであり私の師、伊集院紫音さまですわ」
そう言って自己紹介を始められた後は、
ホワイトボードや機材を使っての私の勉強時間。
PCに入っているソフトを触りながら、隆雪君から預かってた原曲は、姿を変えていく。
私が一人で編曲していた頃では、何処か物足りなかった場所もクリアされていく。
ピアノで編曲している時だけだと考えることもなかった、
ドラムの入ったイメージ、ベースの入ったイメージ、ギターの入ったイメージ。
足りなかった部分を補完しながら、勉強の時間は増えていった。
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