4.練習と曲作り~裕先生の寄越した人~

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「さぁ、最後に一曲。  私とあわせてみましょうか? さっきの癖を意識して、宝珠と演奏したよりももっとゆっくり」 そう言って、向こう側のピアノに座った私に合わせるように、 ゆっくりと演奏を始めた。 宝珠さんと演奏した時とも違った形で表情を見せるピアノの音色。 興奮が冷めやらぬままに、 久しぶりの冒険時間は過ぎていった。 その帰り道、玄関前でベースを担いで現れた託実は、 私に気が付くと、すぐに逃げるように建物の中へと入ってしまった。 久しぶりに逢えたのに、託実とはまともに会話を出来ないまま 私は病院へと戻った。 裕先生が出逢わせてくれたその人たちは、 今以上に、私をピアノの世界へと魅了してくれた。
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