5.学院祭LIVE決定

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サンダーバードと出逢ったその日から、 俺の生活は一気に変わった。 朝起きて学院に出掛けるのは今までと変わりないが、 放課後になり次第、少しでも早く学院を飛び出して 旺希叔母さんのビルの防音室にサンダーバードを連れて籠る。 指導してくれる中山さんの元、 相棒を少しでもいい音で鳴らせるようにしたくて…… 一日も早く、コイツで理佳が編曲している隆雪の曲を 演奏できるレベルまで俺自身を追い込みたくて。 まず最初の俺への試練が、TAB譜と言われるベース専用の楽譜。 理佳が見てた、五線譜とは違って 線はベースの弦の数、四本。 そこに丸印や棒線で綴られている、おたまじゃくし。 そして弾き方。 中山先生に教えて貰ったベースの弾き方は主に三通り。 ・ピック弾き ・指弾き ・スラッピング この三通りの弾き方をマスター磨るべく俺の練習メニューは組まれていく。 っと言っても、練習初日はピックの持ち方から教えられるほどの初心者。 ピック弾きでは、輪郭がはっきりした固めの音が鳴り響き 指弾きでは、柔らかく丸みのあるベースらしい音に変わる。 同じ弦を弾いても、弾き方次第でまたその音色を変える。 そんな相棒と練習を続ければ続けるだけ、惹かれ、のめりこんでいく俺が居た。 今まで俺が生きてきた中で、 こんなにも俺自身がイキイキしながら、楽しんだことってあったかな? 陸上部にこの夏、こだわりすぎてた俺自身が バカらしく思えるほど、俺は新しく出逢った世界に飲み込まれていった。
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