第二楽章 「祈りの夏 煌めく季節」 1.隆雪と怜さん 

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稔はあぁ言ってくれるけど、 今の俺には陸上部に戻るつもりはない。 「稔、悪いけど今は考えられねぇよ」 「あぁ。でも今は……だろ。  俺、体育祭のクラスリレー。  託実の200mと一緒に400m受け持つ予定だから、  そこんとこ宜しく」 クラスリレーは、クラス全員で走る行事。 当然、俺が棄権した分は他のクラスの奴にシワ寄せが行くのは必須。 忘れてた……。 「サンキュー。稔には感謝するよ」 「んじゃ、また学校帰りに奢り宜しく」 「稔、早く着替えろ。授業に遅れるぞ」 背後から声が聞こえたのは、 稔のデューティーである、大樹先輩。 そしてその後ろには、 俺のデューティー智樹先輩。 二人の先輩はすでに、高等部の制服に身を包んで着替え終わってた。 「あっ、やべぇ。  デューティー、大樹失礼します。  んじゃ、後で」 慌ててその場から走り去る稔。 その後ろ、 俺は自身のデューティーに朝の風習となる挨拶をする。 「デューティー、智樹。  おはようございます。  朝のティータイムはなさいますか?」 デューティーは、携帯に視線を向ける。
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