5.学院祭LIVE決定

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「託実くん。  サンダーバードを相棒にして、もうすぐ一ヶ月になるかな。  これまでに、三種類の弾き方・開放弦を使ったピッキング。  次に、フレットの押さえ方・弦ミュート・ドレミファソラシド。  これらを一通りして、メロディーも演奏できるようになったね。  凄くが頑張ってるのが伝わってくるよ。  だけど時々、演奏フォームが崩れてしまうね。  正しい演奏フォームを身に着けることが、うまく演奏するための上達法だよ。  じゃ、次の課題に入ろう」 中山先生の言葉にまた新しい出逢いがあるのだろうと、ドキドキする俺。 「ロックとかに憧れてベースを始めた子が  やりたがるのが、今から先生がするこれ。  一昔前は、チョッパー奏法っと呼ばれていたスラップベース。  今日はやり方を説明するから、ゆっくりと練習してみるといいよ。  スラッピングには、サムピングとプルと二つの動きがあるんだ。    こんな風に」   そう言うと中山先生は、 右手でピストルを撃つような真似をして ベースの弦の上に手を添える。 そして人差し指を引っ込めて、その人差し指を軸に柔らかく手首を回転させながら 親指の一番硬い部分を弦に叩きつける。 「託実くん、わかるかな?  叩く位置としては、指板の12フレット以降がいいんだけど、  叩く場所に寄っても音が変わるから、託実くんが弾きやすくて好きな音が出る場所を探してみるといいよ」 中山先生がやるように、俺も相棒を触ってみるものの思う様に叩けない。  やっぱり付け焼刃では出来ないよな。
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