6.LIVEに向けて 

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「今日は調子よさそうだね。  理佳ちゃん、今日は先生久しぶりの休みなんだ。  一緒にデートしようか」 そう言いながら、ゆっくりと手を差し伸べて 私が車椅子に移動しやすいように、介助してくれる。 「何処行くんですか?屋上とか?」 「違う違う。  休みの日くらい、病院から離れたいなー。  だからデートは外。  外に出掛けるなら、女の子は着替えないといけないか……。  外出用の着替えはある?」 「この間着たのがあるから」 「そう。だったら先生は外に居るから着替え終わったら声をかけて」 そう言うと宗成先生は病室から出て扉を閉めた。 ゆっくりと車椅子から立ち上がって、クローゼットからこの間も着た洋服に袖を通すと もう一度、車椅子に座ってゆっくりとドアの方へと車輪を回した。 「着替え終わったよ」 その言葉と同時にドアが開いて、 私はもう一度病院の外に出ることが出来た。 今回も……なんかあった時に対処できるお医者様付。 宗成先生の運転する車で向かった場所は、 この間と同じ場所。 だけど建物の中に入ってから向かった先が、 前回はエレベーターで上にあがったのに対して、 今回は地下へと向かう。 エレベーターが止まると、先生はポケットからカードみたいなものを出して翳すと ドアがゆっくりと開いた。 地下2階。 真っ赤な絨毯が敷き詰められた廊下をゆっくりと、移動して辿りついた場所は 四方をガラスに囲まれたスタジオ。 その部屋の中で、隆雪君や託実たちは 他のメンバーと共に、私が編曲した曲を演奏してた。
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