6.LIVEに向けて 

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「何、笑ってんだよ。理佳。  お前も食う?  親父がいんだし、少しくらい許可出るだろ」 そう言った託実の声の後、隣に居た宗成先生を覗き込むと どうぞっと先生は許可してくれた。 「なら先生も貰おうかな。  隆雪君はどれにする?」 そんな会話をしながら、それぞれが食べたいおにぎりやパン、サンドウィッチを手にして 一緒に食べる時間。 託実が退院してから考えると、久しぶりに大勢で食べられた 楽しい時間。 「演奏、聴かせて貰ってた。  凄いね……私が完成させた編曲。  あんな風に仕上げてくれて。  託実も凄い、ベース初めてまだそんな時間経ってないのに  宣言通り、私の編曲した曲一緒に演奏してくれてる」 素直に零れ出た。 こうやって聴かせてくれた演奏が、 逢えなかった時間も、託実が一生懸命頑張ってた証なんだと教えてくれる。 「まだまだ。  俺がバンドの足引っ張ってるのはわかってる。  けど……絶対、学院祭では成功させてやっから、  理佳には特等席、運営委員特権で用意しといてやる。  学院祭の日は、裕兄さんも帰国するから  親父、外出許可出せよな」 そうやってまた私が外に出れる機会を 増やそうと、託実は宗成先生に声をかける。 「先生……私も行ってみたい……。  悧羅って、モモも海神だけど通ってるの。  託実の学校、見てみたいから……」 サンドウィッチを一切れ、食べ終えて飲み下すと 託実の後に自分の言葉で、想いを伝える。
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