7.学院祭準備期間

4/10
前へ
/167ページ
次へ
「なら先生も貰おうかな。  隆雪君はどれにする?」 親父が持ってきた紙袋から、パンを取り出すと 隆雪もそれに続いて、パンを掴み取る。 理佳に何か先に取るように促すと、 アイツは躊躇い(ためらい)ながらサンドウィッチを一切れ掴み取った。 野菜が挟まれた、シンプルな玉子焼きサンド。 アイツが選んだものと同じものを 狙って俺も掴み取ると、示し合わせたかのように「いただきます」と声を出して 一斉に頬張った時間。 その瞬間、チビチビと口に玉子焼きサンドを運びながら アイツは嬉しそうに微笑んでた。 SHADEもメンバーも練習を終えたのか、 スタジオから出てきて、紙袋を捉える。 コントロールルームに居た宝珠姉さんたちも合流して、 暫くは和やかな食事時間。 親父の差し入れを持って、何処かの部屋に行く怜さん。 その後、再びそれぞれの持ち場に戻って練習を再開していく。 同じ場所で再び立ち尽くす俺たちと、車椅子の上の理佳。 「演奏、聴かせて貰ってた。  凄いね……私が完成させた編曲。  あんな風に仕上げてくれて。  託実も凄い、ベース初めてまだそんな時間経ってないのに  宣言通り、私の編曲した曲一緒に演奏してくれてる」 突然、理佳がそんなことを言いだした。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加