7.学院祭準備期間

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別に凄くなんてねぇよ。 今も俺が、演奏の足を引っ張ってるのはわかってる。 もっと簡単な演奏にしたら、 確かにもっとまとまりやすくなるかもしんないけど、 それでもやれるとこまで、やりたいんだ。 俺の限界を越えて、 魅せることが出来たら…… 多分、当日それは理佳にとっての生きる力になってくれると思うから。 毎日、必死になって諦めきれずにしがみついて 生きようとするアイツ。 そんなアイツの生き方に、夏休み……俺は力を貰って この時間に繋がってる。 だから……アイツに貰った俺が、 アイツの力を増幅させて、もう一度アイツの中に戻してやるんだ。 アイツが少しでも元気で、長く、笑っていられるように。 そんな願掛けも織り込んだ、俺の挑戦は……失敗なんて許されない。 そして妥協も許せない。 だからお前の言葉に甘えるなんて、俺自身が許せない。 「まだまだ。  俺がバンドの足引っ張ってるのはわかってる。  けど……絶対、学院祭では成功させてやっから、  理佳には特等席、運営委員特権で用意しといてやる。  学院祭の日は、裕兄さんも帰国するから  親父、外出許可出せよな」 理佳に言葉を返しながら、親父が同席している今がチャンスだと 学院祭の話を持ち出した。 学院祭は裕兄さんも帰国する。 理事会メンバーの、伊集院紫音も帰国してる。 理佳が外出できる要素は揃ってるはずなんだ。 だから……親父にダメ押し。
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