7.学院祭準備期間

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「先生……私も行ってみたい……。  悧羅って、モモも海神だけど通ってるの。  託実の学校、見てみたいから……」 何も言わないっと思ってたアイツが、 自分の言葉で、学院祭に来たいと話し始める。 アイツの妹が通う学校。 俺が通う学校が見てみたいから……っと。 「わかった……。  だったら理佳ちゃんは、このまま学院祭の当日まで  体調を安定させること。  託実、お前も理佳ちゃんにストレスを与えるな。  彼女にとってのストレスは、何時命取りとなるかわからない。  毎日、理佳ちゃんを安心させてやれ。  バカ息子」 親父は理佳に外出の為の条件を付けると、 俺にもアイツを安定させろとか、もっともらしいことを指示して 背中を掌で、バシっと叩きやがる。 痛いんだよ、くそ親父。 「理佳ちゃん、二時間したら迎えに来る。  先生は上で妹と話してる。  体調が崩れたら、このボタンをすぐに押しなさい」 親父がそう言って、何かを理佳に手渡すと 理佳はそれを首からぶら下げた。 その後の二時間、SHADEり練習と入れ替わりに 隆雪が名付けた、Ansyalと呼ばれる俺たちのバンドがガラスの向こう側へと入っていく。 何度も何度も演奏を切り返しては、 演奏向上のための話し合いや指示を貰って 学院祭当日に、お披露目できるように仕上げていく。
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