7.学院祭準備期間

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「託実、どうかしたの?  練習は終わった?」 「今、帰ってきた。  あのさ、理佳を……学院祭に三日間滞在させたい。    アイツ、学校らしい学校通えてないだろ。  ずっと病院の院内学級って奴だったんだろ。  だからさ、アイツの妹……海神にいるって行ってたんだ。  モモって言う奴の居る学校が知りたいってさ。  こう言うのって、特別措置ないの?」 「特別措置?  父を取り込みたいってことかな、託実」 「そう。  紫叔父さんに許して貰って、堂々と理佳の特別席を作ってやりたい」 「だったら、理事会の伊集院さんにもコンタクトを取ってみるといいかも。  その辺り、裕先輩か裕真に動いて貰えたらいいと思うな。  父の方は説得しやすいように、動いてみるよ。  学院に滞在させるって言うのは、一般客とは違って生徒として学生の疑似体験ってのも  意味が含まれてるのかな?」 察しがいい一綺兄さんは、俺が言い忘れてたことに気が付いてくれた。 「理佳に学園生活、少しでも疑似体験させたい」 「だったら悧羅の制服が必要だね。  後夜祭のドレスも用意しないとね。  その辺りは、母に話したら楽しんでくれるんじゃないかな」 そんなことを言いながら、一綺兄さんは俺が動きやすいように 全て手回しをしてくれた。 結果、理佳の為に用意できた特別席。 伊集院さんの知り合いのピアノ演奏家。 理事会メンバーである、 伊集院さんのゲストであり、 三日間だけの特別外部編入生。 悧羅の制服は、姫龍伯母さんが早々に仕立てて 理佳サイズのオーダーメイド。 理佳に頼みたいことは一つ。 学院祭で……演奏を披露して貰うこと。 伊集院さんの知り合いのピアノ演奏家扱いだから、 この程度の学院の要望は受け入れてほしい。 だけど……それさえクリアしたら、 理佳は堂々と三日間学院の生徒として学院内を移動できる。 そして……もしかしたら、 アイツの妹とも逢うことが叶うかもしれない。
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