9.12月の行事 

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「うん。有難う」 「よしっ、んじゃとりあえず飯」 理佳から離れて、アイツの食器を手に取って 一口ずつスプーンに掬って、アイツの前へ。 最初は戸惑っていたアイツも、 俺が持つスプーンから、掬ったおかゆを一口食べる。 アイツの胃の中におさまっていくであろう、おかゆを見送って もう一掬い、スプーンに掬って、再びアイツの口元へ。 だけど理佳は、その日はそれ以上食べようとはしなかった。 食事の後は、また眠りについてしまう理佳。 そんな状態を何日も繰り返しながら、 季節は12月へとめぐった。 「託実、理佳さんは?」 教室で俺の姿を見つけた隆雪は、理佳のことを聞く。 「まだベッドから動くのは許可されてないみたい。  ただ少しずつ、晩飯のおかゆは食べてくれるようになった」 そんな風に報告する俺。 「理佳ちゃんがあんな風だと、今回は託実、LIVE誘っても  無理だよな。怜さんが、クリスマスLIVE手伝ってくれないか?って」 12月……。 そっかぁー、もうそんな時期なのか……。 通りで街中がクリスマスソングなんだっと今更に自覚した行事。 そして12月24日のクリスマスイヴは、隆雪の誕生日でもあった。 俺にとっての12月は クリスマスってより、隆雪の誕生日って認識が強かったけど…… 今年はいつもと違うクリスマスになるのかも知んない。 そんな風にも思えた。 「悪い、怜さんと隆雪の誘いなら、参加出来たら良かったんだけど  今回は俺、理佳と初めて過ごすクリスマスだから。  アイツが元気で外出許可貰える状況だったら、出演したかったんだけど  今はちょっと無理そうだから。  隆雪だけ行ってきてくれよ。  昂燿の紀天と伊吹って奴も来るんだろ?怜さんの誘いなら」 そうやって会話を切り返すと、隆雪は首を横に振った。 「託実、Ansyalの正式メンバーは、  まだ俺とお前の二人だけ。  昂燿の廣瀬と瑠璃垣は、たまたま学院祭だから一緒にやっただけ。  怜さん情報だと、瑠璃垣って奴は音楽する気はないんだってさ。  んで廣瀬って先輩は、今はバンドは組む気ねぇって。  俺、フラれた後なんだ。  だから正式メンバーは、俺とお前。  後は……理佳さんくらい、入れとくか……」
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