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「託実……ごめん。
うちの家、クリスマスはないの。
誕生日もクリスマスも、我が家にはもうないの。
私の病院代で沢山お金使わせるから。
小学校の時に、誕生日もクリスマスもいらないって
お父さんとお母さんに言ったから」
そうやって紡いだ理佳の言葉に、
表情がかげった意味を知った。
「でも今年は俺が祝うって言うんだから、
両親は関係ないだろ。
俺が自分が楽しむために、
理佳を巻き込んでクリスマスやりたいだけだ。
でもさ、25日の夜は、隆雪と怜さんのLIVEに一緒に出して貰えることになったんだ。
だから理佳と過ごすのは、イヴの夜でいいか?
親父に話しとおして、小さなクリスマスケーキ用意する。
食べれそうなら食べればいいし、許可出なかったら一緒に飾っててもいいじゃん」
そうやった答えた俺に、再びアイツは俯いた。
「どうした?
なんか不服か?」
「ううん、嬉しいよ……。
嬉しいけど、私……24日の夜はダメなの。
もう予定入ってるの」
そう言って理佳は、遠慮気に引き出しの中から封筒を取り出した。
羽村冴香ピアノリサイタル
神前アメジストホール 18:00
聖なる夜を彩るひとときを……。
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