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次に目が覚めた時も、集中治療室。
私が起きたのに気が付いた、
左近さんはゆっくりと近づいてくる。
「病室に戻れるまでまだ少しかかりそうね。
でも……ゆっくりと回復してるから安心しなさい。
さっき、羽村冴香さんが見舞いに来てくれたのよ。
理佳ちゃんは集中処置室で会えないってお話したら、
この封筒を預けていかれたの」
左近さんはそう言うと、私に封筒を手渡して
また仕事へと戻っていった。
ゆっくりと封筒を開くと、
そこにはチケットが二枚。
*
羽村冴香ピアノリサイタル
神前アメジストホール 12月24日 18:00
聖なる夜を彩るひとときを……。
*
招待チケットをじっと抱きしめながら、
私は冴香先生と初めて出逢ったときを思い出してた。
メイク・ア・ウィッシュ。
あの時、初めてあった私にも
先生は、リサイタルのチケットを封筒にいれてプレゼントしてくれた。
そして生で演奏を聴かせてくれて、
私にピアノを教えてくれた。
冴香先生との出逢いから、
流れ続けた月日。
そして……今年もまた、
こうやってチケットをプレゼントして貰えた。
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