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彼が脱獄した理由は、
恐らくあたしにあるだろう。
脱獄したと聞いた矢先には怖くて言えなかったけど、
彼はあたしを見つけに来る。
もし本当に見つかったら・・・あたしは・・・。
何も考えられない。
彼の辛い人生を思う。
憎んでいた母親のこと。
母親は、
溺愛、
していた。
『・・・・・・こんな女を・・・っっ!!』
あたしを発見したときの雅也の母親の第一声は、
これだった。
異常な母親の行動。
雅也が母親を拒絶するようになるまで、
母親は毎月2回雅也の家へ来ていた。
あたしがいる部屋には雅也は誰も通さなかった。
リビングから、
様々な声や物音を、
数年間聞き続けた。
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