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むしろ多田さんの隣はそんな所より返って居心地が良かった。
授業中に関係ないおしゃべりはしないし、「この問題解けた?」とさりげなく話かけて、時に私の躓いてる問題を教えてもくれた。
だが、他を圧倒するオーラを放ち、学年一位の才女や成績優秀な美貌の幼馴染達を友人に持つ彼女と、小さくて、どちらかと言えば見劣りする容姿で、その上、幼い頃からの苛められっ子で性格は歪み切っている私とでは、あまりにも差があり過ぎる。
何で自分をかまって来るのか、いったいどんな魂胆があるのかとひたすら訝しんでいた。
その頃、私は生きる事に全力で後ろ向きだった。
エネルギーはマイナス方向に無限大。
母の一言がぐっさりと体に突き刺さって、自縄自縛に嵌り込んでいた。
『お前なんか、産むんじゃ無かった!』
『産んで欲しいなんて頼んで無い!』
群れを作りたがる同級生達と一線を画し、毎日をただ死ねないから生きていた。
現実世界から虚構の世界に逃げ込んで。中学1年にして既に厨二病。
そんな態度が、彼女の好奇心を刺激したのだろうか?
何かと話し掛けてくる。
好きな漫画や小説の話を振られ、彼女との会話の楽しさに、段々と私の中で彼女の存在が比重を増していく。
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