*~はじまりはガチンコ勝負~*

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*~はじまりはガチンコ勝負~*

「金丸、おめえ…それは本気で言ってるだか?」 年老いたとは言え、目の光は失っていない村長の金蔵が、斜め前に座る孫へ強い口調で言った。 「ああ、じっ様。オラが行がねえで誰がこの村さ背負って立つだ。売られた喧嘩は意地でも買う!オラの性格をわがってるっぺ?」 勝ち気な性格の金丸は、自慢の艶やかな髪を揺らせ、考えを変える様子は見せない。 美形の多い家系ではあるが、茶色の瞳にオレンジがかった黄金の髪、幼さが残る顔立ちも、あと五年もすれば一族屈指の美しさになりそうだ。 村長であるじっ様の家へと集まった村民達は、囲炉裏の火で赤く照らされた村長と孫の金丸の話を聞き、近くの者同士顔を見合わせ、口々に意見を飛び交わさせる。 「おめえの強さばわがっでる。だども金丸、おめえは村長の跡ば継いでこの村を守っでいぐ身だ。万が一にも、おめえがやられるようなごどがあっだら…この村さおしめえだ…」 「んだ!あっではならねえごどだ…考え直してくだっせ…」 親ほどの村民の中には床を叩いて諌める者や、年老いた老婆達は『やめてくだっせ』と手を合わせる。 「村一番の毒を持つオラがいくだ!オラの毒にかがったら、いっくらあいづらでもイチコロっす」 「丈一郎、おめえ何を言い出すだ!!もどもど、やづらはオラを指名しでるだぞ!」 立ち上がった丈一郎を睨み付け、ナイフのように鋭い歯を光らせると、『じっ様、オラが行くだ!』と前へと僅かに身を乗り出す。 「それにオラは…妾腹だ。跡ば継ぐのは…弟の金平だ。オラじゃねえ…」 寂しげな目を伏せる金丸に、村長も村民も言葉が出ない。
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