キラー・スマイル

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わたしは、冨士美(ふじみ)ころね先輩が大好きだった。 それは、初恋といっても間違いはなくて。 先輩の長くて黒い髪は、常に艶を放ち。 天使の輪を保っていた。 先輩はいつも、明るく可愛らしい笑顔を周囲の人に振りまいていて。 わたしは、あまり会話をすることはなかったけれど。 先輩をそっと見守る時間が大好きで。 学生時代はそれだけが楽しみで、学校に通っているようなものだった。 そんな先輩は。 今、結婚式の真っ最中。 わたしは、先輩の髪を台無しにした事がある。 だから、今日も式に参加する事を言ったら、彼氏である多古谷(たこや)キョウくんがギラギラと目を光らせていた。 勿論行き過ぎなのはわかっているし、すごく、すごく反省もしている。 先輩が悪いことなんて、少しもないけれど。 ただ、悔しいだけだった。 だって先輩は、笑うだけで。 全く、謝罪がなかったから。
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