キラー・スマイル

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でも。 先輩は、わたしの名前すら覚えてなかったんだよ。 もう、涙が溢れて。 止まらない。 すると、同級生の一人がわたしを抱きしめてくれた。 一番、仲が良かった彼女は。 大学は海外の大学で。 ほんの少し前、アメリカへ戻るけれど。 一緒に行かないか、と誘われていた。 わたし、音子が大好きなの。 だから申し訳ないけど、先輩の一人に怒鳴ったんだ。 ころね先輩の無茶ぶりの尻拭い、先輩たちは誰ひとりやらなかったって。 ころね先輩のこと、後輩は誰もよく思ってなかったし。 そういう横暴さは絶対見習うなって、わたしたちの後輩に受け継ぐよういったって。 皆知ってるから、もう、自分を責めるのは止めな。 わたしは、軽く頷いて。 離れた教会を、ぼんやりと見つめた。 しばらくてころね先輩と親しい人たちが、出入り口の側に集まり始めた。 その中には、ころね先輩と親しい先輩たちの姿もたくさん見かけた。
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