キラー・スマイル

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大きな鐘の音が鳴り響き、式が終わろうとしている事を知らせている。 教会の中からは、ころね先輩とそのご主人が現れる。 わたしは、じっと教会の入口を睨む。 先輩は、本当に幸せそうで。 いつも以上に変わらない笑顔を参列者全員に向けている。 その笑顔の下には、先輩のしらない努力が隠されているなんて。 きっと、いつまでも。 分からない。 わたしがこうやって思うのも、今日で最後。 そうやって、遠くから見守っていると。 彼がやってきた。 表情は、仕事が終わったからか軽くなっている。 何事もなかったかのように、わたしに触れようとしたから。 わたしは、その手を遠慮なく叩き。 びっくりした彼に、別れの言葉とともに。 辞職願を顔めがけて、投げつけた。
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