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「それで、ここ何処なんでしょう?」
唇を離して微笑み合って、やっと冷静に周りを見られるようになり、この不思議な空間について質問する。すると、途端に悲しそうな顔をして俯いてしまった朔夜さん。
「俺達の役目、終わっちまったみたいだ……」
小さな声が、音のない空間に響く。
「終わったって……まさか、此処は天国なんですか?」
少し声が裏返ってしまった俺に、俯いたままの朔夜さんが小さく頷く。
そうだ、あの時、急に飛び出してきた猫を避けようとハンドルを切ったら、ガードレールに思い切りぶつかって……
「すいません、俺の不注意で……」
ギュッと握った掌はこんなに温かいというのに、俺達には血が流れていないというのか?
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