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翌朝ボクは、ボクの声で発声練習をする美空に起こされた。
(おはよー)
「もう11時よ。男の人って朝が遅いのね」
天使はご機嫌斜めのようだ。
それにボクは男子だと思われている。
もっとも、女子が女子を好きになる。
それを誤解されるのが嫌で、ボクが女子だと言えないでいた。
「あ~え~い~お~う~~」
どうやら美空はボクが寝ている間、ずっと発声練習をしていたようだ。
(アイドルは大変だね、朝から発声練習とは)
「夢のためよ。翼の夢ってなに?」
生ゴミ女子のボクに夢などない。ただボクは、孤独を……。
「わたしの夢は、歌手になること」
ボクの声でキッパリと、美空は言った。
「聴いてくれた人を幸せにする、そんな歌を歌いたいの」
(でもアイドルで、女優じゃないか?)
「歌のない人生なんて、翼をもがれた鳥と一緒よ」
翼の折れた天使は、ボクの声で泣いた。
ボクはきみの失くした翼になり、一緒に空を翔びたいと想った。
(きみなら、どんな夢でも手が届くさ)
天使の美空がいるから、ボクは生きていけるんだ。
「ありがとー、お礼にわたしの歌を聴いてね」
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