177人が本棚に入れています
本棚に追加
ふいに肩に触れる手。
胸元に身を寄せられて、ふわっ…と鼻を擽るあまい香りに軽い眩暈がする。
これは……夢?
「ねぇ、環 」
もう一度名前を呼ばれて、視線を向けると目の前には濡れたように煌めく瞳。
「……だって、見てたでしょう? 」
私のこと……。
悪いことを見咎められた子どものように、環の身体を大きく震わせた。
「春名さ… 」
「…綾乃よ 」
ほっそりとした両腕が首に回され、瑞々しい果実のような紅い口唇が環の口唇に押し付けられる。
「……っ!? 春名さん、こんな所でっ 」
「……呼んで? 」
慌てて身体を離そうとする環に、口唇と口唇が触れるか触れないかの淡い距離で綾乃が囁く。
最初のコメントを投稿しよう!