お月様が見てる

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ふいに肩に触れる手。 胸元に身を寄せられて、ふわっ…と鼻を擽るあまい香りに軽い眩暈がする。 これは……夢? 「ねぇ、環 」 もう一度名前を呼ばれて、視線を向けると目の前には濡れたように煌めく瞳。 「……だって、見てたでしょう? 」 私のこと……。 悪いことを見咎められた子どものように、環の身体を大きく震わせた。 「春名さ… 」 「…綾乃よ 」 ほっそりとした両腕が首に回され、瑞々しい果実のような紅い口唇が環の口唇に押し付けられる。 「……っ!? 春名さん、こんな所でっ 」 「……呼んで? 」 慌てて身体を離そうとする環に、口唇と口唇が触れるか触れないかの淡い距離で綾乃が囁く。
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