言葉

2/12
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「ごめん。彼女いるんだ」 放課後の教室に男の声と女の泣き声が響いた。 瀬戸美佳-17歳。 たった今失恋をした。 美佳は行き場も考えず学校を出た。 結構走り、立ち止まって周りを見ると、そこは賑やかな街だった。 悲しさで頭がいっぱいな美佳は、その街をフラフラとさまよっていた。その時-…。 <ドタッ> 『いったぁ…』 美佳が派手に転んだ。 失恋の悲しさに転んだ痛みの悲しさが増して、美佳の目から涙が溢れてきた。 『うッ…うッ…』 「君…大丈夫かい?」 一人の男が美佳に話しかけて来た。 『うぅ…ヒック』 美佳は返事をしなかった。 すると、男は美佳を持ち上げ、自分の家まで運んだ。 『ちょッ…なんですか?ここどこ?』 美佳が言うと男はニッコリ笑い答えた。 「俺の家。あ、襲ったりしないから。大丈夫」 『はあ…』 あまりの笑顔に怒る気も失せた。 「君、名前何?あと、制服ッて事は高校生だよね?」男が話しかけた。 『美佳です。高校生ですよ』 「美佳チャンかあ。俺は拓馬。高校生とか若いなあ」 美佳は聞いた。 『拓馬サンは何歳ですか?』 「俺?25だよ。オッサンだな」 美佳はびっくりした。 そんなに年上だと思わなかったからだ。 『オッサンッて…。まだ若いじゃないですか』 「まぢ!?ありがと~」 拓馬が笑った。その瞬間、美佳の心がキュンッとなった。 とても可愛い笑顔…。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!