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「ごめん。彼女いるんだ」
放課後の教室に男の声と女の泣き声が響いた。
瀬戸美佳-17歳。
たった今失恋をした。
美佳は行き場も考えず学校を出た。
結構走り、立ち止まって周りを見ると、そこは賑やかな街だった。
悲しさで頭がいっぱいな美佳は、その街をフラフラとさまよっていた。その時-…。
<ドタッ>
『いったぁ…』
美佳が派手に転んだ。
失恋の悲しさに転んだ痛みの悲しさが増して、美佳の目から涙が溢れてきた。
『うッ…うッ…』
「君…大丈夫かい?」
一人の男が美佳に話しかけて来た。
『うぅ…ヒック』
美佳は返事をしなかった。
すると、男は美佳を持ち上げ、自分の家まで運んだ。
『ちょッ…なんですか?ここどこ?』
美佳が言うと男はニッコリ笑い答えた。
「俺の家。あ、襲ったりしないから。大丈夫」
『はあ…』
あまりの笑顔に怒る気も失せた。
「君、名前何?あと、制服ッて事は高校生だよね?」男が話しかけた。
『美佳です。高校生ですよ』
「美佳チャンかあ。俺は拓馬。高校生とか若いなあ」
美佳は聞いた。
『拓馬サンは何歳ですか?』
「俺?25だよ。オッサンだな」
美佳はびっくりした。
そんなに年上だと思わなかったからだ。
『オッサンッて…。まだ若いじゃないですか』
「まぢ!?ありがと~」
拓馬が笑った。その瞬間、美佳の心がキュンッとなった。
とても可愛い笑顔…。
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