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リストの中から失踪者の情報を纏める。
住所、年齢、性別、滞在期間、泊まっていた人数、泊まっていた場所。
(バラバラじゃない…1つ以外は)
失踪事件が起き始めたのが6年前と聞いた。
その中で一致するものは"場所"だけ。
その"場所"とは、今、自分が泊まっているこの棟。
つまり、デスクはわざわざ事件の中心地に私を送り込んだということ。
「……私が失踪したら、捜してくれるんだろうね?デスクのヤツ……」
文句を言いつつ、出来上がったリストを眺めながらベッドに仰向けになる。
この中で見るべき点は"滞在期間"。
旅行や遊びに来たと言えば、普通は1,2日ほどで帰るだろう。
しかしこのペンションは、お客様のほとんどが5日以上の滞在で利用する。
目を横に向けると、サイドテーブルに置かれたペンションの案内とこの周辺の地図、そして観光スポット案内のパンフレット。
それを手に取り中を見る。
「……………」
なるほど。
春は山菜の宝庫。
夏は避暑地やバードウォッチング。
秋はキノコ狩り。
冬はスキー。
四季を通じて楽しめる売り文句がある。
リフレッシュしたい現代人にとって、大自然の中で過ごすストレス解消法にはもってこいかもしれない。
それが山好きならうってつけの場所。
…だが。
大事なピースが欠けている。
長期滞在になるのは分かったが、その滞在期間中の何日目から現象が起こり、何日目で失踪したか。
(手記とかないのかな…)
個人経営のペンションや旅館等では、オーナー自身が日記をつけることが多い。
情報が凝縮されているそれを見れば、大体の状況を知る助けになるだろう。
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