Meeting

10/16

2467人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
リストの中から失踪者の情報を纏める。 住所、年齢、性別、滞在期間、泊まっていた人数、泊まっていた場所。 (バラバラじゃない…1つ以外は) 失踪事件が起き始めたのが6年前と聞いた。 その中で一致するものは"場所"だけ。 その"場所"とは、今、自分が泊まっているこの棟。 つまり、デスクはわざわざ事件の中心地に私を送り込んだということ。 「……私が失踪したら、捜してくれるんだろうね?デスクのヤツ……」 文句を言いつつ、出来上がったリストを眺めながらベッドに仰向けになる。 この中で見るべき点は"滞在期間"。 旅行や遊びに来たと言えば、普通は1,2日ほどで帰るだろう。 しかしこのペンションは、お客様のほとんどが5日以上の滞在で利用する。 目を横に向けると、サイドテーブルに置かれたペンションの案内とこの周辺の地図、そして観光スポット案内のパンフレット。 それを手に取り中を見る。 「……………」 なるほど。 春は山菜の宝庫。 夏は避暑地やバードウォッチング。 秋はキノコ狩り。 冬はスキー。 四季を通じて楽しめる売り文句がある。 リフレッシュしたい現代人にとって、大自然の中で過ごすストレス解消法にはもってこいかもしれない。 それが山好きならうってつけの場所。 …だが。 大事なピースが欠けている。 長期滞在になるのは分かったが、その滞在期間中の何日目から現象が起こり、何日目で失踪したか。 (手記とかないのかな…) 個人経営のペンションや旅館等では、オーナー自身が日記をつけることが多い。 情報が凝縮されているそれを見れば、大体の状況を知る助けになるだろう。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2467人が本棚に入れています
本棚に追加