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…グゥーーー…
「…って。もう8時!?」
自分の腹の虫の音で空腹だと気付き、そして時間経過に気付く。
携帯を持ってキッチンに向かい、パンを焼きながらビーフシチューを温める。
『もしもし』と、不機嫌な声の主はデスク。
『職業?』
「はい。」
『なんの関係がある?』
「さぁ。」
『さぁって…お前な。』
「調べてみたんですけど、失踪者の接点がないんです。何か手がかりが欲しい。」
『あのな。物事を掘り下げて考えれば』
「自ずと道は拓かれる…でしょ?分かってますよ!足りない情報を集めてるんです。
同じ棟にいるということ以外の接点が分かれば、さらに掘り下げて考えられます!」
『……あるじゃねぇか。接点。』
「…あ。ホントだ。」
『バカか?お前。…まぁいい。そのリストこっちに送っておけ。明日調べてやるよ。』
「ありがとうございます!」
『気を付けろよ。』
熱々のパンとビーフシチューをよそうと、ちょうど電話も終わり、テーブルについてPCを見ながら遅い夕食。
作ったリストをデスクのPCに送り、検索サイトを開く。
ワードは"長野"と"失踪"
「…うわ。すごい量…」
失踪者の人数は7人。
相次ぐ事件に関する記事は大量にあった。
その一つ一つに目を通していくも、どれも信憑性のないものばかり。
中には"神隠し"という非現実的な記事を書いているおバカさんまで現れる始末だ。
諦めてPCを閉じると、満腹感にいっぱいの身体を起こして窓の外を眺める。
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