Meeting

12/16
2467人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
怪奇現象が起こる時間、つまり夜の時間帯に何者かが来ているということ。 それが誰で目的は何なのか。 その事を暴けば、失踪者についての道も見えてくるというものだ。 (…失踪者が見付かれば大スクープだわ) ちょっとワクワクしてきた。 ならば、出来るだけ夜の時間帯に起きておく必要がある。 その異変の確認も。 「……行くか。」 外の気温は10℃前後。 少し厚手のセーターと防寒着を着ると、懐中電灯、デジカメ、携帯を持って外へ出た。 辺りは物音も風の音もなく、シーンと静まり返った闇の中。 月が高い位置にあり、周りを照らしてくれるため、敢えて懐中電灯を点けずに歩き出す。 ここは山奥。どんな野生の生き物がいるか分からない。光に誘われて出てこられては困る。 「…っ!!!」 恐怖心はさほどないものの、風の音さえない山奥で、急にバサッ!と音が鳴ればビックリする。 見れば、大きな鳥。フクロウの類いだろう。 辺りを警戒しながら、山道をゆっくりと登り始める。 30分ほど登ると、小さな展望台らしき岩に辿り着く。 今朝見た風景。足場の安定したこの岩に登ると、大きな湖を一望できる絶景ポイントだった。 (…今は真っ暗でなにも見えないや) 外灯さえない山道で、展望台は無意味。 そこから降りると、再度歩を進める。 「……!」 …と。 微かに何か聞こえ、ピタッと足を止めた。 パキッ! パキッ!! 山の斜面。木々の奥から何か歩いてくる感じの規則的な枝の折れる音。 周りを見渡すと、自分が隠れるのにちょうど良い岩があり、そこに身を潜めた。 だが、音も消えた。 (…な…何だろ…鹿とか?) 気配もなくなり、先ほどの無音と闇の世界が戻ってきた。 腰を上げ、岩に隠れながら辺りを見回す。 「ーーーーーッッ!!!」 「誰だお前!」 立ち上がろうとした瞬間、足を掛けられ倒された。同時に腕を背中に捻り上げられ、身動きさえも封じられた。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!