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怪奇現象が起こる時間、つまり夜の時間帯に何者かが来ているということ。
それが誰で目的は何なのか。
その事を暴けば、失踪者についての道も見えてくるというものだ。
(…失踪者が見付かれば大スクープだわ)
ちょっとワクワクしてきた。
ならば、出来るだけ夜の時間帯に起きておく必要がある。
その異変の確認も。
「……行くか。」
外の気温は10℃前後。
少し厚手のセーターと防寒着を着ると、懐中電灯、デジカメ、携帯を持って外へ出た。
辺りは物音も風の音もなく、シーンと静まり返った闇の中。
月が高い位置にあり、周りを照らしてくれるため、敢えて懐中電灯を点けずに歩き出す。
ここは山奥。どんな野生の生き物がいるか分からない。光に誘われて出てこられては困る。
「…っ!!!」
恐怖心はさほどないものの、風の音さえない山奥で、急にバサッ!と音が鳴ればビックリする。
見れば、大きな鳥。フクロウの類いだろう。
辺りを警戒しながら、山道をゆっくりと登り始める。
30分ほど登ると、小さな展望台らしき岩に辿り着く。
今朝見た風景。足場の安定したこの岩に登ると、大きな湖を一望できる絶景ポイントだった。
(…今は真っ暗でなにも見えないや)
外灯さえない山道で、展望台は無意味。
そこから降りると、再度歩を進める。
「……!」
…と。
微かに何か聞こえ、ピタッと足を止めた。
パキッ!
パキッ!!
山の斜面。木々の奥から何か歩いてくる感じの規則的な枝の折れる音。
周りを見渡すと、自分が隠れるのにちょうど良い岩があり、そこに身を潜めた。
だが、音も消えた。
(…な…何だろ…鹿とか?)
気配もなくなり、先ほどの無音と闇の世界が戻ってきた。
腰を上げ、岩に隠れながら辺りを見回す。
「ーーーーーッッ!!!」
「誰だお前!」
立ち上がろうとした瞬間、足を掛けられ倒された。同時に腕を背中に捻り上げられ、身動きさえも封じられた。
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