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薬をテーブルに置くと、まずはPCをチェック。
デスクからのメールを見、私の作ったリストの余白に、それぞれの職業を書いてPC閉じる。
ちょうどやかんが鳴ったので、コーヒーを二人分入れると椅子に座る。
それを見て、男も私と対面して座った。
「…甲府まで行ってきたの。そこに私の知り合いがいて、この薬を盗んできた。」
「…末期癌患者か。」
「知ってるの?」
「モルヒネだろ。」
「正解。…あなた、銃弾が身体の中に残ったままでしょ。早く取り出さないと、傷口が閉まっちゃうと思って。」
「…………!」
「それ飲んで。ちょっと気分がハイになったら痛みも感じないでしょ。麻酔なしでちょっと切開するからね。」
「……………」
「あとは…薬切れたら痛みが凄いと思うけど、そこは忍耐して。気休め程度だけどロキソニン。
傷口が化膿したら、どんな手を使ってでも病院に行って抗生物質打ってもらうからね。
それから…明日はこの下剤飲んで。モルヒネの副作用、100%便秘になるから。」
「お前ここまでするか?見ず知らずの相手に。」
「怪我人は放っておけないタチなのよ。…で?オニイサン、名前くらいあるんでしょ?」
「……川崎。」
「そ。川崎さんね。はい、これで知り合いになったから文句はなし。…ご飯食べた?」
「あ…その鍋のやつ…」
「そっか。食べたんなら結構!
…あ、これは川崎さんの下着と着替え。買うの恥ずかしかったんだから感謝しなさいよ。
じゃ、ちょっとシャワー浴びる。上がったら弾取り出すから、モルヒネ飲んでてね。」
捲し立てるように一気に言葉を繋げて、着替えを持つとバスルームに入った。
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