Re;search

2/14
2462人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
薬をテーブルに置くと、まずはPCをチェック。 デスクからのメールを見、私の作ったリストの余白に、それぞれの職業を書いてPC閉じる。 ちょうどやかんが鳴ったので、コーヒーを二人分入れると椅子に座る。 それを見て、男も私と対面して座った。 「…甲府まで行ってきたの。そこに私の知り合いがいて、この薬を盗んできた。」 「…末期癌患者か。」 「知ってるの?」 「モルヒネだろ。」 「正解。…あなた、銃弾が身体の中に残ったままでしょ。早く取り出さないと、傷口が閉まっちゃうと思って。」 「…………!」 「それ飲んで。ちょっと気分がハイになったら痛みも感じないでしょ。麻酔なしでちょっと切開するからね。」 「……………」 「あとは…薬切れたら痛みが凄いと思うけど、そこは忍耐して。気休め程度だけどロキソニン。 傷口が化膿したら、どんな手を使ってでも病院に行って抗生物質打ってもらうからね。 それから…明日はこの下剤飲んで。モルヒネの副作用、100%便秘になるから。」 「お前ここまでするか?見ず知らずの相手に。」 「怪我人は放っておけないタチなのよ。…で?オニイサン、名前くらいあるんでしょ?」 「……川崎。」 「そ。川崎さんね。はい、これで知り合いになったから文句はなし。…ご飯食べた?」 「あ…その鍋のやつ…」 「そっか。食べたんなら結構! …あ、これは川崎さんの下着と着替え。買うの恥ずかしかったんだから感謝しなさいよ。 じゃ、ちょっとシャワー浴びる。上がったら弾取り出すから、モルヒネ飲んでてね。」 捲し立てるように一気に言葉を繋げて、着替えを持つとバスルームに入った。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!