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(…大丈夫!) これは直感だった。 あの鋭い目が気になった。 あれだ。 極道取材の時の組長の目に似ていた。 あれは、私がどんな奴か探っている目ということに気が付いたのは、取材開始2時間を過ぎた辺りだった。 同じ目をして探られていた。 この建物に入った瞬間、車のチェックを入れられている辺り、かなりの警戒心を持った人物。 "わ"ナンバーのレンタカー、その走行距離表示がデジタルではなくアナログだということに瞬時に気付いたのだ。 だから私も探りを入れてみた。 私が取りに行ったモルヒネが自分のためだと気付いた瞬間、少し驚きの表情を見せた。 そして、私を見る目がほんの少し穏やかになった。 私が話すことをよく聞いてくれる。 恐らく、このすべての説明が自分のためだと分かったからだ。 判断力が半端ない人。 名前は、間を開けず直ぐに答えた。 私のことを、ある程度信じてもらえたんだろう。 "川崎"は偽名でなく本名と断定していい。 昨夜、山での対応といい、照明の灯しかたといい、警戒心が多いことや判断力が優れていることから考えれば… (…相当訓練されている人だ) 善人だろうが悪人だろうが、スキルと実績を重ねてきた人。 今のところ、私は"安全な人物"になったはず。 怪我が治るまでの間は、身は安全だ。 それ以降は、その時考えよう。 いろいろ考えが纏まったあとバスルームを出た。
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