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自分の手も消毒液に浸して数秒。 カミソリを持って、傷口に当てる。 「…切るよ?」 「……………」 頷いたのを確認し、傷口を見る。 ドクン!ドクン!と自分の心臓の音がハッキリと聞こえ始めると、震え出した自分の利き手。 咄嗟にカミソリを外し、手の震えが止まるのを待つ。 「………香子。」 「…………!」 「俺は絶対動かないから。約束する。やってくれ。お前なら出来る。」 「……………」 しっかりと目を開き、信頼しきっている口調。 大きく深呼吸を繰り返すと、もう一度口にタオルを噛ませて傷口と向き合う。 「少し切って…ピンセットで取り出す。それだけ。…よし、切るよ!」 「………ンンン!!!!!」 手の震えが止まってる。 イメージトレーニングを一瞬のうちに済ませて、傷口にカミソリを入れた。 1cmほど切ったあと、カミソリを放り投げ、ピンセットを持つ。 その先を一気に中へと沈ませ、指先の感覚だけで金属同士が交わる場所を探す。 薬を飲んでいても、相当な痛みらしく、唸り声が絶えず響く。 そして、脂汗が吹き出す川崎。 「…どこ…分からない…どこ…!」 流れ出す血に、次第にパニックになっていく。 これで死んだらどうしよう… これで死んだらどうしよう… これで死んだらどうしよう…!! ピンセットを奥に入れて7cmほどの場所。 確かに感じる金属摩擦。 「……こ……これだ……」 見えない場所。頼れるのは感覚だけ。 それが銃弾だと確信し、ピンセットの先を広げる。 何度目かのトライで、何かを挟めた感覚。 それを外さないように力を入れ、ゆっくりと引っ張り出す。
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