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取り出したピンセットと挟んだものは血塗れ。 消毒液で洗い流すと、確かに銃弾。 一気に緊張が解けて、床にへたりこんだ。 自分の手を見れば、当然血塗れ。 自分が切った川崎の身体も血塗れ。 「……もう嫌だ……嫌だぁあああ!!!」 「…ッ!……香子!」 「嫌だぁあああ!!」 「香子!」 脂汗が引かない。相当痛いはずの川崎が起き上がり、私を抱き締めた。 「落ち着け。…大丈夫だ。お前のお陰で命拾いした。ありがとう香子。」 「……ヒック……ヒック……」 「怖かったな。…でもよくやってくれた。」 撫でられる背中と穏やかな声が、落ち着きを取り戻す切っ掛けになる。 「…ご…ゴメン…川崎さん…」 「大丈夫か?」 「うん。…ベッドに寝てください。消毒してガーゼ当てましょう。」 キッチンに行き血と顔を洗い、再度手を消毒してベッド脇に膝を立てて中腰になる。 血を拭い、傷回りは消毒液を直接かけて洗い流すと、どうやら血は止まっている様子。 綺麗になったあとガーゼを当て、テープで固定する。 広げたゴミ袋に血の付いたタオルすべてを纏めて口を固く縛る。 やかんのお湯を別のボウルに入れると、新しいタオルを浸して絞り、川崎の身体を拭く。 「…傷…縫えないから、一生残るかも。…でも、2,3日ベッドから動かなきゃ、傷口は塞がると思う。」 「ああ。分かった。」 「…痛かった?」 「かなり。」 「…ごめんなさい!」 「ハハッ!大丈夫。」 (…あ。笑った…) ここに来て初めて笑顔を見せた。 ちょっとは私を信用してくれたと思っていいのか? それくらい、自然な笑顔だった。
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