Re;search

6/14
前へ
/417ページ
次へ
取り出したピンセットと挟んだものは血塗れ。 消毒液で洗い流すと、確かに銃弾。 一気に緊張が解けて、床にへたりこんだ。 自分の手を見れば、当然血塗れ。 自分が切った川崎の身体も血塗れ。 「……もう嫌だ……嫌だぁあああ!!!」 「…ッ!……香子!」 「嫌だぁあああ!!」 「香子!」 脂汗が引かない。相当痛いはずの川崎が起き上がり、私を抱き締めた。 「落ち着け。…大丈夫だ。お前のお陰で命拾いした。ありがとう香子。」 「……ヒック……ヒック……」 「怖かったな。…でもよくやってくれた。」 撫でられる背中と穏やかな声が、落ち着きを取り戻す切っ掛けになる。 「…ご…ゴメン…川崎さん…」 「大丈夫か?」 「うん。…ベッドに寝てください。消毒してガーゼ当てましょう。」 キッチンに行き血と顔を洗い、再度手を消毒してベッド脇に膝を立てて中腰になる。 血を拭い、傷回りは消毒液を直接かけて洗い流すと、どうやら血は止まっている様子。 綺麗になったあとガーゼを当て、テープで固定する。 広げたゴミ袋に血の付いたタオルすべてを纏めて口を固く縛る。 やかんのお湯を別のボウルに入れると、新しいタオルを浸して絞り、川崎の身体を拭く。 「…傷…縫えないから、一生残るかも。…でも、2,3日ベッドから動かなきゃ、傷口は塞がると思う。」 「ああ。分かった。」 「…痛かった?」 「かなり。」 「…ごめんなさい!」 「ハハッ!大丈夫。」 (…あ。笑った…) ここに来て初めて笑顔を見せた。 ちょっとは私を信用してくれたと思っていいのか? それくらい、自然な笑顔だった。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2468人が本棚に入れています
本棚に追加